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千ベロの聖地「立石」物語 もつ焼きと下町ハイボール [読書感想文]


千ベロの聖地「立石」物語―もつ焼きと下町ハイボール

千ベロの聖地「立石」物語―もつ焼きと下町ハイボール

  • 作者: 谷口 榮
  • 出版社/メーカー: 新泉社
  • 発売日: 2021/03/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 1月に日経新聞朝刊を読んでいたら著者自身が立石を紹介する記事が載っていたので記事中で紹介していた本書をすぐ買い求めた次第。しかしちょうど私自身の繁忙期が来てしまい紹介するのが3月末になってしまいました。とは言え23区で皇居を挟んで対角線上に暮らす私にとっては葛飾区は遠くてほぼ知らないエリアです、本書中にある通り京成線沿線ですので都営浅草線経由でアクセスは良いか。

 京成立石には2019年にアクアドルフィンランドに行った際「呑んべ横町」は中を歩いた記憶があります。当時既に再開発の立ち退きが始まっていた様な?著者の谷口榮氏は葛飾区の職員で学生時代に葛西城の発掘作業を手伝いそのまま葛西城がライフワークななったような人。もしかして?と思い以前紹介した「葛西城とその周辺」を読み返してみると共同執筆者の一人だった。葛飾区の職員と言う事は「葛飾区郷土と天文の博物館」の展示も担当していたんじゃないかな?2020年に展示を入れ替えるまでは葛西城についてかなり掘り下げて紹介していたので、それを見て書籍を買い求めた位に面白かった。

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長崎丸山遊廓 江戸時代のワンダーランド [読書感想文]


長崎丸山遊廓 江戸時代のワンダーランド (講談社現代新書)

長崎丸山遊廓 江戸時代のワンダーランド (講談社現代新書)

  • 作者: 赤瀬 浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/08/18
  • メディア: 新書

 レビューを見て面白そうだと思い注文。しかしそもそも遊郭の研究本は1冊も読んだ事が無かった。それで何故興味を持ったか?と言うのは、世間一般での遊女イメージである売り飛ばされただの悲惨な境遇と言うのと異なるのが長崎の丸山遊郭だったと言う著者の主張が面白そうだったから。その点についてはレビュアーから著者の見解であると指摘もありましたが私は遊郭について何も知らないので。

 そんな私の様な人間向けに1章を割いて遊郭とは何か?と言う解説まで載せてくれています、遊郭と言えばやはり吉原なので遊女に売られて年季が明けるまでのフローがわかる。売られたと言う建前なので現代水商売で言う所の「時給の子」みたいな勤務形態かと思いきや、ほとんど個人事業主である「売上の子」扱いで衣装は自前で部屋は賃料払って営業しているとは知らなかった。置屋の食事はお茶漬け程度だからお客にご馳走を取らせて一緒に飲食しないと栄養失調になりそうだとか。年季が明けて故郷に戻れずとも使える人物なら遣り手として遊女屋で暮らし続ける事が出来ますが、その場合は無給なのでチップやキックバックで暮らすしかないと言うのも厳しい。

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正法眼蔵随聞記 [読書感想文]

 何か禅宗の本ばかり読んでいる、典座教訓も読んでるし修行僧の絵日記本も読んだ。日蓮宗なのに。

正法眼蔵随聞記 (講談社学術文庫)

正法眼蔵随聞記 (講談社学術文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/11/11
  • メディア: 文庫

 数年前に吉祥寺の古本屋にて店頭の百円本を物色していたら出てきた次第。文庫になっているのか?と感心して百円なので買い求めました。私が購入したのは学術文庫ではない一般の講談社文庫ですが双方山崎正一校注なので恐らく内容は一緒でしょう、学術文庫だったら百円の棚には決して並ばなかったと思う。巻末の解説を読むに現在流通している書写本は数種類あるそう、本書でも注書きに岩波文庫版ではと違いを強調していますが私は読み比べる事は無いので。

 正法眼蔵ならば道元禅師の教えになりますが随聞記です、2歳年上の弟子懐奘が道元の指導を書き写した内容。曹洞宗の僧侶ならば正法眼蔵を読むのでしょうけど在家で信徒でもない私には随聞記はとても面白い読み物ですね。正直買ったは良いが死蔵していたのを何かの拍子に読んでみたら思ったよりも面白かったのでサクサク読み進める事が出来たのは実に意外でした。

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江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか [読書感想文]

 江戸時代=循環型社会と言う定説に一石を投じる意欲作。

 加賀百万石から豊富な文献に基づいて江戸時代の農業を紐解くと言う体裁なので北陸在住の年配研究者が著者だと思っていたら何と沖縄在住で執筆当時は40代だったと言う若い方でビックリです。十七世紀を加賀藩の土屋又三郎と十八世紀前半を晩年幕臣となる田中丘隅(きゅうぐ)と言う2名の篤農家の記した書籍をベースにして分析。特に土屋又三郎の農業図絵である「耕稼春秋」については本書の全編において挿絵として引用されています。

 プロの絵師ではない少し稚拙な感じのする画を詳細に紐解いていて感心します。余白にちょっと鳥を描いただけなのでは?とか収穫風景の絵図を分析して、こちらの写本は農作業の指南書として描かれているがこちらは役人に大根の収穫期に農地の視察をするように描かれており同じ原典の写本でも想定読者層が異なると微妙に違うとか凄いですわ。農業書と言うのは郷土博物館に行くとページを開いた形で展示されているのをよく見ますがそこまで念入りに見た事はないです。

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利根川民俗誌 [読書感想文]


利根川民俗誌

利根川民俗誌

  • 作者: 筒井功
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2010/01/01
  • メディア: 単行本

 以前「利根川図誌」と言う本を紹介しました。読んだと言うのもおこがましく活字を目で追っただけでした、流石に利根川流域の地理に明るくないと何が何だかですよ。その岩波文庫版の利根川図誌は柳田國男が校訂しているとか、確かに前書きはしていたと思う。本書の著者曰く利根川図誌を記した医師の赤松宗旦の子孫と柳田國男は交流があり、また利根川図誌を読み込んでいたからこれ以上の適任者はいないそう。著者の方も利根川流域に40年以上暮らしているとかでそれなら本書を片手に見て回る事も出来るだろう。

 「利根川民俗誌」としては利根川図誌を解説したり現状報告はしないつもりだと言いつつもそうなっている部分が多いと思う。利根川図誌がそれだけ強烈であるのと岩波文庫版を手掛けた柳田國男の存在が大き過ぎるのでそこは仕方ない。書籍は「著者の体質、趣味、関心のありか」の制約を受けると著者が言う通り、この方は他に差別関連の著書が多いので利根川図誌で採り上げた文物についてそっち方面からの解説を入れて深掘りするのは為になります。

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ザイム真理教 [読書感想文]

 財政均衡主義vsMMTと言うトンデモ大戦

ザイム真理教

ザイム真理教

  • 作者: 森永 卓郎
  • 出版社/メーカー: 三五館シンシャ
  • 発売日: 2023/05/19
  • メディア: Kindle版

 「安倍晋三回顧録」で安倍元総理が財務省への強い不信感を持っていたと言うのはもう読んだ人も読んでいない人もご存じだと思います。私も先日の研修会での講師が財務省から来た人で、研修の途中で「安倍元総理にそんな風に思われていたとは思いもしませんで」とか言い訳をしていてその時は得意の財政均衡主義トーンは抑え気味だったと言う。実は研修受講当時まさに本書を読んでいたのでこれ見よがしにテーブル上に置いていましたが受講者が300人以上いたので見えてはいないだろうな。

 そんな安倍晋三回顧録の流れを受けてってまさか数ヶ月で本書を書き上げたわけでもないだろうから、財務省叩きの内容だからと安倍元総理の顰に倣って加筆修正したのだろう。大手出版社に持ち込んでも断られた問題作と言うウリ文句ですがラジオにゲスト出演しては本書の告知をしてみたり、そもそも私が本書の存在を知ったのも日経新聞朝刊の広告でしたのでそんなに禁断の書でも無いと思う。

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安倍晋三 回顧録 [読書感想文]


 2月発売でしたがAmazonでは電子書籍しか扱いが無かったので楽天で注文したら届くまで1月近くかかったと言う。しかし2月3月は忙しくて読書どころではなかったからそれで良かった、都心の大型書店に行けば平積みされていたのだろうなと想像していました。出て早々読んだ方々が新聞のコラムや自身のブログで内容を採り上げていて、曰く財務省への強い不信感ですとかアベノミクスと言われたリフレ政策に対する批判などは何度か目にはしていました。

 ご存じの通り昨年7月に手製の銃で撃たれて亡くなったと言う事で出版のタイミングとしては故人を美化するのか死人に口なしで叩くのかにならないようにインタビューをそのままテキストに起こしたと言う態を取っています。ですので同じ話が何度も出るのは仕方ない、それで財務省批判は何回も出てくる話になってしまっている。勢いあまって「森友学園問題は財務省の仕掛けた安倍おろしではないかと疑っている」まで聞き出したのはお手柄なのかもしれない。その派生なのか「ザイム真理教」なる本まで出ましたし。この話は日経のコラムとか経済系ネット記事で追従派と財務省擁護派がそれぞれ主張をしていて楽しい。

ザイム真理教

ザイム真理教

  • 作者: 森永 卓郎
  • 出版社/メーカー: 三五館シンシャ
  • 発売日: 2023/05/19
  • メディア: Kindle版

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湯道 [読書感想文]

 二週連続で雨の日曜日、スラムダンクの映画を観に行ったのですよ。昨年末公開の映画でしたが児童生徒の鑑賞料金を500円にした効果か劇場は小学生の大群とその引率係な親で満ちていました。それが騒がしいと言う事も無く皆映画に没入していてこちらもしっかり楽しむ事が出来ました。上映終了後に売店を覗くと「湯道」のパンフレットが売っていてそうだしまった、スラムダンクじゃなくてこちらを観るべきだったろう。とりあえずパンフレットだけ確保して一旦帰宅。

 では平日夕方の仕事帰りにでも観に行くかと思い調べたらもう朝の部しかないですね。2月末に上映開始でスラムダンクほど当たっている映画でもないので仕方ないか、それでも頑張って探し続けるとららぽーと横浜ならば18時20分の回があった。火曜日はランニングをしたので翌水曜日に予約したらTOHOシネマズの割引日だったようで1,200円でした、スラムダンクは1,900円だったのに。

 ららぽーと横浜と言えばJR横浜線の鴨居駅前ですが原付で行った方が早いので17時半目途に出かけるつもり。しかし水曜夕方の南関東は大気の状態が不安定で出がけに雨雲レーダーを見たらまさに鴨居駅上空に雨雲が頑張っています。職場を出たら雨がポツポツ降っているし中原街道大渋滞だし、港北区に入ったら本降りになってしまい混雑した歴博通りを急ぐもまさかの1時間以上かかってしまった。これは予告だけではなく本編冒頭も観れないかな。

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モモ [読書感想文]

 タイパ関連の報道を受けて。

モモ (岩波少年文庫)

モモ (岩波少年文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/07/20
  • メディア: Kindle版

 MXのバラいろダンディを見ていたら鈴木涼美さんがタイムパフォーマンスをミヒャエル・エンデの「モモ」で紐解いていたので興味を持って読んでみた次第。岩波少年文庫と言えば、デュマのダルタニャン物語から濡れ場部分をゴッソリ削除して無理やり児童文学に仕立てた三銃士とか、そんなイメージですが本書は削ったとしても400ページ超えているので気にせず読んで良いのかなと。

 タイパ=モモと言うのはかなりメジャーなアプローチなようです。しかし、そもそもモモを読んだことが無い私には良いきっかけが出来たかな?と思いました。こんなに古典の大ベストセラーでも私のように読んだ事が無い人はいるので。エンデの「ジム・ボタンの機関車大旅行」は子供の頃に読みましたがアニメ版とタイトル以外共通点が皆無で衝撃を受けた思い出。

 タイパの象徴とも言える映画をスマホで倍速視聴する意味がそもそも理解できないので。今年亡くなったゴダール監督の作品なんてストーリーだけ追うとほとんど飛ばして観てしまうと思う。それで稼いだ時間をSNSで炎上したりさせられたり、或いは罵倒の応酬に費やしているならば正しく灰色の男たちに時間を奪われて不機嫌に忙しくしている人達と同じだわ。

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「経済人」の終わり [読書感想文]

 副題は「全体主義はなぜ生まれたか」実はドラッカーの処女作

「経済人」の終わり―全体主義はなぜ生まれたか

「経済人」の終わり―全体主義はなぜ生まれたか

  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2022/06/14
  • メディア: 単行本

 ノーベル経済学賞受賞者のハイエクが著した「隷属への道」でも紹介されていた逸品です。ドラッカーは1909年生まれでナチスが政権を取った1933年に本書の執筆を開始して正式にと出版されたのは1939年だそうです。優秀な人は若い頃から本当に優秀。ドラッカーと言えばもしドラもといマネジメントですが、むしろドラッカーと言えばな上田惇生氏翻訳のダイヤモンド社版なので2000年頃のドラッカー本出版ラッシュの波に乗った人なら読みやすい。と言うより隷属の道と違い2ページの見開きに収まるセンテンスの区切りがあるのと注記も巻末ではなく本文中にあるダイヤモンド社のドラッカー本フォーマットがありがたい。

 1939年と言えば第二次世界大戦が始まる年ですが、33年にナチス政権が誕生してから戦争勅発までの期間渡米したドラッカー青年がドイツのナチス党やイタリアのファシスト党を観察して分析していた内容がコレ。安直に戦争犯罪やホロコーストを取り上げて批判する内容ではない、執筆当時はどちらもやらかしてないか。全体主義を近代の失敗として資本主義や共産主義の唯物論に大衆が絶望して誕生したと位置付けしています。

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