正法眼蔵随聞記 [読書感想文]
何か禅宗の本ばかり読んでいる、典座教訓も読んでるし修行僧の絵日記本も読んだ。日蓮宗なのに。
数年前に吉祥寺の古本屋にて店頭の百円本を物色していたら出てきた次第。文庫になっているのか?と感心して百円なので買い求めました。私が購入したのは学術文庫ではない一般の講談社文庫ですが双方山崎正一校注なので恐らく内容は一緒でしょう、学術文庫だったら百円の棚には決して並ばなかったと思う。巻末の解説を読むに現在流通している書写本は数種類あるそう、本書でも注書きに岩波文庫版ではと違いを強調していますが私は読み比べる事は無いので。
正法眼蔵ならば道元禅師の教えになりますが随聞記です、2歳年上の弟子懐奘が道元の指導を書き写した内容。曹洞宗の僧侶ならば正法眼蔵を読むのでしょうけど在家で信徒でもない私には随聞記はとても面白い読み物ですね。正直買ったは良いが死蔵していたのを何かの拍子に読んでみたら思ったよりも面白かったのでサクサク読み進める事が出来たのは実に意外でした。
何が面白いか?と言うと道元が弟子に修行を指導する際に何を言ったか?をありのままに記録している点。禅宗だから只管打坐(しかんたざ)でしょ?なんですが話がブレるのが道元の人間性が出ていて良いです。仏教書だけ読めば良いのだと言いつつも論語や貞観政要の話がさらっと出て来るし高僧の伝記も読んでいる。僧は食器と衣だけ持っていれば良いのだと言いつつも自分はかつて領地を所有していたなんて言うし。入道(僧形をしているが出家していない人の事だそう)や尼僧であるのに修行僧としての心得がなっていない、と言いつつ自分の知り合いなので困ったものだとこぼしてみたり。
修行だ修行だと言いつつも人情家で、座禅だけすれば良いのだと言いつつ博識なのは貴族の生まれで海外留学もしているから。臨済宗の栄西禅師は無頓着だったと言いつつも自分はお寺の経営の事を考えていて檀家さんへの気配りを忘れない常識人な部分が読み取れます。そう言うのはやはり指導書ではなく口伝だから。「百尺竿頭一歩を進む」が2度出てくるのでお気に入りだったのかなと、今IMEでも一発予測変換で出てきてそちらの方にビックリしました。
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