SSブログ

安倍晋三 回顧録 [読書感想文]


 2月発売でしたがAmazonでは電子書籍しか扱いが無かったので楽天で注文したら届くまで1月近くかかったと言う。しかし2月3月は忙しくて読書どころではなかったからそれで良かった、都心の大型書店に行けば平積みされていたのだろうなと想像していました。出て早々読んだ方々が新聞のコラムや自身のブログで内容を採り上げていて、曰く財務省への強い不信感ですとかアベノミクスと言われたリフレ政策に対する批判などは何度か目にはしていました。

 ご存じの通り昨年7月に手製の銃で撃たれて亡くなったと言う事で出版のタイミングとしては故人を美化するのか死人に口なしで叩くのかにならないようにインタビューをそのままテキストに起こしたと言う態を取っています。ですので同じ話が何度も出るのは仕方ない、それで財務省批判は何回も出てくる話になってしまっている。勢いあまって「森友学園問題は財務省の仕掛けた安倍おろしではないかと疑っている」まで聞き出したのはお手柄なのかもしれない。その派生なのか「ザイム真理教」なる本まで出ましたし。この話は日経のコラムとか経済系ネット記事で追従派と財務省擁護派がそれぞれ主張をしていて楽しい。

ザイム真理教

ザイム真理教

  • 作者: 森永 卓郎
  • 出版社/メーカー: 三五館シンシャ
  • 発売日: 2023/05/19
  • メディア: Kindle版


 一部の既存メディアにバカだのボンボンだの叩かれ続けた安倍元総理ですが、本書を読んだ印象では現実主義者でむしろもしかしたら周囲にやや無関心なのかもしれないなと思いました。そう言うリアリストな部分がやや空想的だったり夢想的なリベラル論者とは合わないのはよくわかる。あるいは大政翼賛会時代の革新官僚からそのまま申し送り事項で社会主義的に「全国一律・公平・平等」を大義名分とし続ける財務省や厚生労働省とも合わないだろうなと感じます。

 リベラルではなくリバタリアンなので「全国一律・公平・平等」に予算・人員・時間を費やす事を無駄と考えているのだろうな。だから出来る人が先行するのもやむを得ないと言う考え方をするので、だったらトランプ前大統領ともウマが合うだろう。それでもトランプ氏の思考回路は通常の政治家と全然違うと何度も強調していました。安倍元総理と言えば右翼だ軍国主義だと言うレッテル貼りもお馴染みですが案外と防衛省内の縦割りにはウンザリしていた様子、経済産業省はまだ市場経済的な考えをするから性に合ったのだろうな。

 政治家なので議席を守り続けなければならないし、自民党総裁としても選挙で勝ち続けなければならない。その辺の戦略はリアルで地元対策や、勝てるタイミングを見計らって衆議院を解散すると言った勝負師の一面も良くわかります。内閣総理大臣としての成果よりも自民党総裁として選挙に勝ち続けた実績の方が自慢している印象も受ける。選挙も勝てる候補やどうせ負ける候補にはリソースを割かず当落線上の候補へテコ入れをするとか割り切りが潔いと言うより残酷なレベル。

 国内外の政治家評が割と毒舌で、これは生前にもし出版するとなれば割愛されていたかもしれない。前述のトランプ前大統領は意外と礼儀正しく安倍氏としては扱いやすい部分もあったのだろうなと思わせる一方でその前任だったオバマ元大統領はビジネスライクでプライベートな付き合いは期待できないタイプだったとか、すきやばし次郎での会談と聞いて急遽参加したいと言ったライス補佐官の話は笑えました。好意的に書かれている外国首脳も多いのですが、韓国については一貫して約束を守らないと言う認識でそりゃ関係も冷え込むなと。逆に北朝鮮については米軍の脅しが効いているので話を有利に進めてしまおうと言うリアリストの一面が。旧民主党政権についても大変辛辣ですね。


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。