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日本敵討ち異相 [読書感想文]

 初長谷川伸

日本敵討ち異相 (中公文庫 A 27)

日本敵討ち異相 (中公文庫 A 27)

  • 作者: 長谷川 伸
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1974/05/10
  • メディア: 文庫

 長谷川伸氏は往年の時代小説の大家だそうですが今では全く馴染みが無かったところ、昨年村上元三氏の「六本木随筆」を読んだ際に長谷川伸リスペクトが凄かったのでどんな作品だろうか?とやや興味を持って、更に西浅草の池波正太郎文庫を見学に行ったらやはり長谷川伸氏が師匠筋であるとかなんとかあったので一丁読んでみようかな?と、思ったのですが大衆小説家と言われるだけあって今となってはあまり流通しておらず出会いが無かったです。それでも月に一度行く吉祥寺の古本屋でやっと本書を発見して購入した次第。

六本木随筆 (中公文庫 A 83-6)

六本木随筆 (中公文庫 A 83-6)

  • 作者: 村上 元三
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1980/03/10
  • メディア: 文庫

 因みに村上元三氏は直木賞作家なんですが時代考証家でもあったそうで、六本木随筆も時代考証の話が中心だったなと。古地図や当時の図誌その他大量に文献を収集した上に現地を旅行し取材を重ねてやっと時代小説を書く事が出来ると言う大変な有様なんですが、その村上元三氏の師匠筋の方なので更に資料収集を重ねて敵討ち370件の内13篇が本書に収録されていると言う。何故370件が13篇にしかならなかったか?と言うのは本書巻末の解説で語られているので是非読んでください。

 その370件もの記録と言うのは本書を読んだ印象では、そもそも敵討ちと言うのは殺人なのでただ闇雲に仇討をしてしまうと当時の刑法犯として処罰されてしまうのだなと。なので所轄の役所(現代の様な中央集権国家ではないのでそれぞれの領地を治める藩の代官所など)に所定の書類を提出して、殺害する相手が間違いなく敵であると言う証拠固めまでする必要が有るのだなと。雄山閣の「捕物の歴史」と言うのを読んだ事がありますが、そちらは警察機構の話が中心でしたが本書は裁判の記録風です。

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