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江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか [読書感想文]

 江戸時代=循環型社会と言う定説に一石を投じる意欲作。

 加賀百万石から豊富な文献に基づいて江戸時代の農業を紐解くと言う体裁なので北陸在住の年配研究者が著者だと思っていたら何と沖縄在住で執筆当時は40代だったと言う若い方でビックリです。十七世紀を加賀藩の土屋又三郎と十八世紀前半を晩年幕臣となる田中丘隅(きゅうぐ)と言う2名の篤農家の記した書籍をベースにして分析。特に土屋又三郎の農業図絵である「耕稼春秋」については本書の全編において挿絵として引用されています。

 プロの絵師ではない少し稚拙な感じのする画を詳細に紐解いていて感心します。余白にちょっと鳥を描いただけなのでは?とか収穫風景の絵図を分析して、こちらの写本は農作業の指南書として描かれているがこちらは役人に大根の収穫期に農地の視察をするように描かれており同じ原典の写本でも想定読者層が異なると微妙に違うとか凄いですわ。農業書と言うのは郷土博物館に行くとページを開いた形で展示されているのをよく見ますがそこまで念入りに見た事はないです。

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