SSブログ

旧田中家住宅 (埼玉県川口市末広) [郷土博物館]

 日曜日、先週に行った川口市文化財センターで紹介されていた旧田中家住宅に行こうかなと。またもや環八から122号線で川口市に入って川口元郷駅を過ぎてそう言えば昼飯がまだ、左手にリンガーハットがあるからそこでランチしようと思ったら対面が目的地だった。リンガーハットに原付を停めて店内で野菜たっぷりちゃんぽんをいただく、昔は店舗限定メニューでしたが今ではレギュラーメニューになったのかね?

 食後に横断歩道を渡って向かいの目的地へ、ちょっと重い引き戸を開けて入ると土間と高めの座敷。常駐のスタッフは年配女性で30代位の若い男女は企画展の関係者だった、入り口で個人情報を書いてすっかりお馴染みな体温測定をやると額の体温は34度で正直この検温は意味無いよね。それでもOKにはなったので210円を払って下足入れに雪駄を仕舞って上がる。

 上がると先ほどの年配著性が案内役を買って出てくれてエントランスで気になった天井付近の大きな神棚収容スペースやその裏手にある大きな金庫と金庫の間にある防火シャッターの解説、障子の引き戸はパーツを外すと通気性が良くなるとか、更に現状のエントランスは来客用で家族用は脇にあると言うので案内してもらう。装飾が面白いけれども田中さんの末裔が10数年前まで実際に暮らしていたとかで現代風の呼び鈴が付いていてNHKのシールが貼ってあるのはご愛敬。
神棚のあった場所


 親切な女性スタッフから解放?されて真っ赤なビロード張り階段を上がり2階へ、豪華洋館ですがこの階段の幅がなんとなく曲尺でこのこじんまりさは日本人だなと。3階まで上がると右手の土蔵の様に頑丈そうな扉の向こうが常設の「上田一味噌の醸造」コーナー、文化財センターで見たアズマイチ味噌やらヒラタ船の画像も同じだわ。味噌に関しては製造過程なら文化財センターで読んだのですが、この田中家の敷地内に昔は味噌工場があったと言うのには感心した。味噌御殿だったのね。

 隣は控えの間と大広間、何というか昭和の文化住宅な応接間・洋間の源流で旧華族の邸宅や外国人の住居とは違う日本家屋の狭さと間取りを感じるような。窓などは上述の通り平成の中頃まで住宅に使っていたからか現代風のガラスで大正期の板ガラスじゃないのが残念、3階の国道沿いですから眺めは良いです。ただ折角のお屋敷なのだからガラスはピカピカに磨いて欲しいけど無理か、入り口にいた企画展な皆様の現代アートも陳列されていますがあまり興味が無いのでそれはスルー。

 2階に降りると今度は田中家の解説で、農家から麦味噌と材木商で成り上がったとかで幕末から終戦直後まで4代の田中徳兵衛(名前は襲名)の年表があります。この洋館を作ったのは4代目だとかで、味噌と材木のみならず不動産に手を出して村長や県議会議員に貴族院議員までやったそう。こう言う国家の偉人まではいかずとも地域の偉人は良いですね。
リンガーハットより
 2階部分はレンガ造りの洋館ですが和室になっていて当時の日本人はやはり畳文化なのだなと、欄間がありますが基本的にレンガなので木造家屋の寒さは無いのだろうね。奥の客間も和室になっているし襖もふんだんに使ってある上に廊下の狭さなんぞも一般的な日本家屋のソレなので、やはり大正時代の日本人としては大邸宅と言えどこれ位の広さが落ち着くのかなと。客間と主人の座敷の間に階段が有りますが現在一般公開されていないので再びメイン階段に移動して1階へ戻る。

 旧田中家住宅は国道側の3階建て洋館とその裏に平屋の日本家屋が増設されていて、3間の襖を開けて計36畳の座敷として公開してあります。洋館寄りが仏間で仏壇が案外と小さい、ウチの実家の仏壇位で正面の神棚の豪勢さからすると当然地方の民家にあるような大きな仏壇と思ったらそうでもなくて拍子抜け。座敷にはまたもや企画展の作品が並んでいましたが奥の間のトイレの方が気になった、展示品と言うより実用品のトイレなのでコロナ以前は見学者向けに公開していたのかもしれない。
仏壇
 洋館部分の裏手に戻ると先ほどの巨大金庫のある食堂とその奥に台所、元は使用人スペースだった部分を市に寄贈?する前は家族で使っていたのか?20年くらい前のキッチンセットが入っているのが何とも、ガステーブルなんて我が家と同じだわ。こう言うのも資料を基に竣工当時の状態を復元してくれると楽しいのですがおいおいでしょうね。旧田中家住宅買受時の市議会の議事録とか読むと面白そう。

 台所壁面に使用人部屋への急な階段があったり奥に大きな土間が有るのを見学していると入り口にいた年配女性がやって来てまた色々解説してくれる、使用人用の風呂場もあったとか。土間から引き戸を開けて庭に出て見て下さいとか言うので勝手口に有った突っ掛けを拝借して庭へ。回廊式になっていますが通路を右へ右へと進むと外壁にぶつかって道が無くなってしまったのでそのまま進むと先ほどの女性が変な所から来ましたねと笑っている。

 もう貴女俺の事好きなんじゃないの?と言う調子で庭の先にある茶室へも一緒に、茶室と呼ぶにはちょっとしたホール位はある。味噌蔵の廃材を一部使っているとかで壁面の木彫品は見事、味噌蔵や味噌工場の敷地が茶室や庭になっているとか何とか。茶室は昭和48年竣工だそうで、確かに当時の家庭画報グラビアにでも登場しそうな昭和50年ごろのモダンと言うか懐かしい感じです。庭に戻って池を見物後退散、国道沿いではなくもう少し閑静な場所に有ればなとモータリゼーション社会になってからは思います。
家庭画報な茶室
 何と言うか成り上がった庶民が建てた洋館と言う手狭感に親近感が持てます、成功を夢見る一般人は是非訪れてこんな庶民生活の延長な成功を勝ち取りたいのかそれとも別世界の住民にまで昇り詰めたいのか?とか己に問うと何か気付きがあるかもしれない。

旧田中家住宅
http://www.kawaguchi-bunkazai.jp/tanaka/


タグ:川口元郷
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。