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「感染症パニック」を防げ! リスク・コミュニケーション入門 [読書感想文]

 コロナ騒動で当初はウイルス入門本を探していたのが。

「感染症パニック」を防げ!  リスク・コミュニケーション入門 (光文社新書)

「感染症パニック」を防げ! リスク・コミュニケーション入門 (光文社新書)

  • 作者: 岩田 健太郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/11/13
  • メディア: 新書

 講談社ブルーバックスの「新しいウイルス入門」が欲しかったのですが新刊本は電子書籍しか売っていなかったのです、どうも書籍は今でも紙が良いのでそれはパス。平時ならば図書館で借りるかブルーバックスの在庫が多い古書店で探すのですが双方とも休業要請対象ですので無理、他を検索すると岩田健太郎氏の本書は在庫があった次第。

 岩田健太郎氏と言えばダイヤモンド・プリンセス号に乗り込んで色々情報発信されていた方で少々やり方がスタンドプレーだった人だったか。そんな出来事もその後の僅か3月間に色々有り過ぎて遠い昔の様です、当時は中国に続き日本が汚染地帯であるかの様に言われてロンドン市がオリンピックの代理開催するだの言っていましたね、その後の欧米での流行を思うに実に呑気でした。

 副題にリスク・コミュニケーション入門とある通り、感染症パニックに限らず企業や団体のパニックやリスク対策にも応用が効きます。と言う謳い文句の一冊ですが、さっそく「新型コロナウイルス」と言う帯が付けられていて光文社も商魂たくましい。一般に新書とは専門家が素人向けに専門分野をやさしく解説する入門書なので、それが話題なら良い事です。あくまでも入門書ですから新書一冊だけ読んで自分が専門家であるかのように勘違いする人にはならないよう。


 文字通り「リスク」時のコミュニケーション術でして専門家として非専門家に正しく伝える方法論であります。専門家から非専門家へダイレクトに情報が伝わると言うよりも間にマスメディアがどうしても入るのでメディア対策と言うか、前半ではあまりメディアの話をしないように心がけていたのが後半には埒が明かなくなったのかメディア対策に軸足を置いたと言うか。それでか前半では反原発調の発言をしていたのが後半部になると原子力に対する非科学的な怖がり方にダメを出してくるので、当初はメディアに忖度していたのを後半で止めた風。

 メディアの方は情報の受け手のレベルに合わせる必要性を過剰に意識しているなと言うのがワイドショーのコメンテータやラジオのパーソナリティの受け答えを見聞きして常々感じるところであります、一昔前の新聞コラムの様に「こんなサザエさん一家みたいなの実在する筈ないだろ」と言う現実離れ感が鼻につく気もしますが。しかしマスメディアやタレントの影響力はとても大きくビートたけしやみのもんた(本書の出版時期が察せられる)の言う事は皆聞くが、専門家の意見はやれ「忖度」だの「御用学者」と批判されてしまうと伝える苦労をこぼしています。

 今回のコロナ騒動でもワイドショーが「納豆」と言えばスーパーから納豆が消えるのですから相変わらず影響力は絶大、その影響力を真に世の為人の為に使ってくれれば良いのですが不安やパニックを煽ってばかりで成り立ちやビジネスモデルとしてそもそもが邪悪なのだな。番組が下劣と言うよりも視聴者に合わせた結果がコレなのだろうけど、もう少し良い方向に導く努力をしてみたら?思想が入って来るから無理だろうけど。放送局側に配慮しているかのようなゲストタレントのコメントも視聴者目線のつもりなのだろうからあまり目くじらを立てるのもどうもね。不快ならばそもそも見ないか、関連する話題もSNSで追いかけたりしなければ良いと思います。

 短く簡潔に白黒付けたがるメディアと一般的に断言はしない専門家の発表はそもそも水と油なのですが、その条件下で専門分野に関して素人の記者にどう伝えるか?と言うノウハウこそリスク・コミュニケーションなのです。深夜に記者会見を緊急に開くとその緊急記者会見自体がスクープ性を持ってしまうので、変にメディアの事情へ迎合せずに記者会見は1日1回定時に行うだけで良いとかなるほどなと。

 学会に出席する日本人やエリート官僚の「質問出来ない問題点」と言うのはわかりますね、講演会で質疑応答時間には質問せず終了後に個人的に聞いてくる日本人が多いそうで、質疑応答時間にすれば質問や回答を出席者全員で共有出来るのに勿体無いとか。受験勉強を勝ち抜いて来たエリート官僚は答案作成に通じる説明する能力に長けてはいても質問をする事が苦手な人が多いとか。講演会のレジュメやスライドも出来れば使わずトークで済ませろと言うのも、確かに資料配布があるとそれで良いかと言う事になるね。

 本書の変なところは、第1章が250ページ以上もあり、第2章がその後50ページほどしかない章分けですね。この第1章を3~4つの章に分けて、第2章は岩田健太郎氏が経験した感染症の例なのでこちらは巻末の参考事例と言う形式で良かったのではないだろうか?その50ページに1999年流行の西ナイル熱から2014年のデング熱までを箇条書きで並べてあり、2003年のSARSと2009年の新型インフルエンザは今回の新型コロナと騒ぎが似ているなと。しかしこちらはきれいさっぱり忘れていたのでこの様に読み返す事も大事、この巻末を読むに岩田氏はかなりの権威なのでダイヤモンド・プリンセス号の一件は専門家として中抜きさせずダイレクトに情報発信したかったのかな?とも読めます。


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