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戦略空軍命令 [読書感想文]

 トランプ大統領の言い分も一理あると思わせる作品。

戦略空軍命令 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 復刻シネマライブラリー
  • メディア: Blu-ray
Strategic Air Command / [Blu-ray] [Import]

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  • 出版社/メーカー: Unbranded
  • メディア: Blu-ray



 読書感想文カテゴリで映画の紹介ですがご容赦を、原題のStrategic Air Command(SAC)とは戦略航空軍団と本来訳すべきですが映画のタイトルなのでそこは良いか。公開時の1955年はキューバ危機よりも前ですが既に東西冷戦が始まっていた頃です、当時はインテリの間では今からすると意外ですが旧ソ連が勝利して世界は社会化されると信じられていたそうなので、そんな不利な状況下でのアメリカ政府のプロパガンダ映画がこの作品であります。

 プロパガンダ映画であると同時にこの映画自体にもう既に抑止力があるとしか言いようがない内容でして、部隊の司令官が平和維持活動として世界中の何処へでも何時でも飛んでいって核爆弾を投下できる状態を維持していると豪語してしまいます。アメリカによる平和であり、アメリカを敵に廻して戦争をしようものなら国家も民族も地上から消滅させてやるとでも言わんばかりのメッセージと言うか警告がスクリーンから発せられる内容です。


 その裏付けが映画の前半に登場する超巨大戦略爆撃機B36と後半に登場するB47戦略爆撃機です、それぞれの配備先基地には同型機が大量に配備されているのが映像から見て取れます。B36は全長全幅が懐かしのB747旅客機並の大きさでして、もう見るからに製造・運用・維持に莫大な費用が必要そうな超大型機な上に劇中で主人公をして「第二次世界大戦中に日本へ投下した爆弾の総量と同威力の爆弾が1機に搭載されている」と言わしめています。

 B47の方は寸法としてはB29並ですが戦闘機の様なキャノピーを持った3人乗りのスマートな機体で、フロリダの基地を飛び立ってアラスカ上空で空中給油を受けて沖縄の嘉手納基地までノンストップで飛んでしまいます。これまた配備基地には大量のB47が配備されていて、戦略爆撃機をこれだけ大量に配備運用して世界中をその攻撃可能エリアとしている事がこの映画を観れば誰でも良くわかるようになっています。なので普通の感覚ならば戦略爆撃機の配備すらままならない大部分の国は戦争しようと言う気持ちが萎えるのではないだろうか?

 ただ、アメリカと殴り合おうなどと言う冒険的な野心を抱くのは旧ソ連位しか存在しなかった上に、戦争も総力戦と言うよりもゲリラ戦や大規模テロと言う想定外の手段が主流に変わって来た事。また、ミサイル兵器の発達や1名乗りの攻撃機やら戦闘機にもB29以上の爆弾を搭載する事が出来る様になってSACも必要無くなった挙句、当のアメリカ自身にこう言うものを維持する力が無くなったのかなと。そんな寂しい現状を見得も外聞も捨ててあっさり認めてしまったのがトランプ大統領だったのが良くわかります。それでもまだ世界中に基地を持ってB52戦略爆撃機も展開し空母打撃群と呼ばれる攻撃ユニットを地球上のどこへでも展開する能力を有しているのでまだまだ十分に世界の警察官ですけど。

 そんな現在のアメリカの有様が少し寂しいのですが、この映画に登場するアメリカは豊かで、世界平和のためなら仕事や家庭も顧みずに己を犠牲にする覚悟のある市民が招集されて兵役についたりと迷いが無い。飛行機も両翼端のジェットエンジンを廻すと主翼がブルブル震えるB36や離陸時に胴体からロケット噴射?して着陸時にはパラシュートが開いたりと派手なB47、C97輸送機がガソリンタンカーをトラクターごと呑み込んだりKC97の空中給油シーンと航空機マニアにはたまらない逸品。60年以上前の作品で画像のデジタル修復もしていない風でしたのでDVDで充分かなとも思いましたが、B36が夕暮れの雲海を飛行するシーンはとても美しいのでBlu-rayで正解でした。


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