SSブログ

儲かる物理 [読書感想文]

 4回読まないと理解出来なかった。

儲かる物理 ~人生を変える究極の思考力~

儲かる物理 ~人生を変える究極の思考力~

  • 作者: 鈴木 誠治
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2017/11/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 日経新聞朝刊1面下の書籍広告コーナーで2度ほど紹介されていたので購入、本当は1度目で買うつもりだったのですが忘れてしまい2度目で慌てて注文した次第。高校時代は理系クラスで大学受験も文系なのに社会科ではなく数学で受験したから機械があれば数学の勉強をやり直したいなと常々思っていました、しかし現実は大学の統計学以来数学からトンと遠ざかってしまい精々比や簡単な一次方程式に平方根を算定する様な計算をやる程度。本書は予備校で物理を教えている方が物理をマクラに経済活動を解説する本でもあり、経済活動を読み解くのに力学や量子力学を応用している態。

 ところが本書を読んで解ったのは中高の数学や高校物理を完全に忘れていると言う悲しい事実でした、数式が良く出てくるのを1回転目では見事に読み飛ばしてしまいコレではいけないと4回読みました、決して難解と言う事では無いよ。そうすると3回目あたりから数式をボチボチ思い出して来たのと、等式を乗じたり平方根を求めたりして公式の証明をするような算定を辿る事が出来る様になってやっと面白くなってきました。

 そうなるとつらつら考えるに、35年前には算式を丸暗記して意味も何も考えずにいたから、受験数学や受験物理と縁が切れたから忘れてしまったのだなと。本書を読んでいると公式や法則を発見した人の名前やそのエピソードから入って、それが導き出される過程を数式で辿るので今更意味が解るのが楽しい。当時著者の鈴木先生の授業を受けてみたかったと今更思いますが同年代なのでそれは叶わなかったか、と言うより当時の自分はそんなストーリーが理解出来るほど頭が良くなかった。


 そんな風に活字を目で追うスタイルでの物理と数学の復習本として読んでしまいましたがタイトル通りに物理の公式や法則で経済や会計を読み解こうと言う一冊です、と言うよりそもそも社会科学と言うものも自然科学の隆盛を見てそれを経済や帳簿に応用しようとしたのが始まりですからコレはアリな考え方じゃないだろうか。

 本書にそんな事は書いてありませんが、私は個人的に物理法則は経済や社会にそのままあてはまると思っていたので、本書のアプローチは至極納得のいくものですね。加えて私の時代には学習しなかった量子力学を確立や対数を使って解説するので、確立や対数は私でも勉強していますからね。

 物理の三要素(距離・時間・質量)やニュートンの運動の三要素を改めて説明してもらいつつも、グラフの線の傾きで比例や反比例を表したり、一次式ではグラフが直線なのに二次式では曲線になるもの良く考えたら二乗するから当たり前なんだよなとか今更しみじみする。ココでチャート式でも買って来て毎日30分でも数学の勉強をしたら楽しいだろうなと今更本当に思います。

改訂版チャート式基礎からの数学1+A

改訂版チャート式基礎からの数学1+A

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 数研出版
  • 発売日: 2017/01/01
  • メディア: 単行本

 量子力学からデリバティブ商品の解説に入るのも現実にそう言う流れで金融工学が誕生したのだから本書の物理からのアプローチは実に正しいのだな、ギャンブルの話も1回目は脱線に感じていたのが過去の結果が未来に影響を与えるや否や?と言う問いかけからまたもや量子力学に話が進んでみたりと関連性を指摘。昔から経済や会計と言うのは貨幣額で波動や電気工学に力学を表現しているんではと思っていましたが、数式やグラフを使ってそれを証明されると気持ちが良い。いや、ヒトのやる事は結局機械や電子機器を使っても経済活動でも自然科学のワクに収まるのだなと。

 巻末に最新の放射線治療が載っていて、原理は何の事は無いニュートン力学の運動方程式でがん細胞をピンポイントで破壊すると言うのにもいたく感銘を受けました。どうにも放射線と言う悪魔の物質を浴びると細胞が死滅するとでも言う風なのが今時の考え方なのですが、そんな似非科学ではなくまっとうな物理学を使っているだけなのか。著者も昨今の放射線アレルギーは行き過ぎではないの?位のマイルドな表現ではありますが疑問を呈しています。

 そう言う人たちが言う「ゼロリスク」と言うのもね、本書には証明式が幾つも登場するのですが中には近似値を求める事で証明終了とする式もあるのですよ。高等数学でも無く近似値を求める計算は中学の数学で学習する内容ですが、「ゼロリスク」では近似値は差異がゼロにならないから不正解になってしまう。そんな数学や物理の公式や法則を否定する考え方を公言してしまうのも、数学以前の算数レベルで科学から遠い存在なんだな。著者はそんな事は一言も語っておらず私の勝手な感想ですけどね。


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。