玉川の湯(金魚湯) （栃木県栃木市室町）

　秋分の日、バイクで昨晩ブラタモリで採り上げた宇都宮に行こうかな？と思ったけど色々考えると帰りがとても遅くなるので手前の栃木市に目的地を変更、栃木と言えば小江戸蔵の街で喜多川歌麿所縁の地でもあるので観光するところは幾らでもある。栃木ＩＣで東北道を降りて市街へ、例幣使街道沿いが観光地なのでデニーズ向かいの旧警察署跡地無料駐車場にバイクを停めて巴波川方向に進む。ミツワ通り共栄会と言う商店街のアーチの向こう側に油井型の煙突を発見、コレはどう見ても風呂屋の煙突だ。

　実はこんな事もあろうかとカバンに手拭いとアカスリタオルを忍ばせてあるのだよ、１４時時点で既に営業していましたが風呂は帰る前で良いかな？巴波川沿いを散策して例幣使街道沿いの観光客で賑わう商店街を観光してから１６時前に改めて風呂屋を訪問、正面右手に来客用駐車場あり。明治２２年創業の左手横から見るととんでもなく奥行きのある風呂屋でして、奥行きと言うか奥の方は製材所か何かでその廃材がそのまま燃料になっているのじゃないだろうか？

　正面には千鳥破風の入り口があり、その欄間部分上の動物の彫刻とか破風部分の鶴亀の木彫とか見事。雨どいも赤銅製の板金職人が叩いて作った立派な物を使っているし、両脇の屋根はスレート瓦なんですが鯉の形をした鬼瓦があり先ほど郷土参考館にて栃木市の屋根瓦職人の展示を見たのでそれだろうか。石張りの壁上階は手すりも立派で広間になっているらしい、ホテルの玄関の様な石板貼りのタタキに入ると番台裏手に大きな天狗の面。その下の板壁には渓谷の風景が彫り込んであり、その手前には彩色された松の木に鳥がとまる木彫品が傘立ての後ろに置いてあったりと彫刻が見事。

　右手の下足入れにブーツを無理やり仕舞い引き戸を開けて入場、番台の女将さんに３５０円払う。その際にタオルや石鹸は？と聞かれて持参していると答えましたが、タオルの無料貸し出しがあるそうです。そして仕切り側奥の洗面台前に古い石鹸が大量にストックしてあるのと、外壁側トイレ脇の台に綿棒も用意してあったので手ぶらで来てもアメニティは充実している。浴室側中央にも大きな天狗のお面があり天井は格天井、仕切り側手前にやや無粋な金属ロッカーがあるのですが敢えて脱衣籠を利用、驚いたのは外から見てエントランス左右のガラス窓がそのまま脱衣場の窓だったのか。トイレは外壁側の典雅な木戸の向こう側ですが洋式便器に改装されていた、その公道側手前に２階に上がる階段があります。

　浴室へ、脱衣場との仕切りはガラスのサッシなので恐らく当初は無かったんじゃないだろうか？男女の仕切りもすりガラス製、島カラン１列でカランは７－４－４－７で立ちシャワーは無し。天井は湯気抜き窓の無い平らな物なのは２階に座敷が有るからかな？ケロリン桶と腰掛を持って仕切り側カランに陣取る、カランは都内じゃ見ない小型の日の丸扇刻印のレバー式も残っていますが和栗のボタン式に刷新されつつある。全身をしっかりと拭ってから浴槽へ、金魚湯だけに壁面に水槽があり金魚が泳いでいる。浴槽脇には仕切り側に乳房のあるメスの河童に奥側に狛犬や鯉の焼き物の置物あり、コレも鬼瓦だろうか？浴槽は金魚の水槽下からお湯が湧いて流れ込む様になっていて、仕切り側が白湯の深槽で中央が浅槽と外壁側が薬湯。中央の浴槽は昔の日本人サイズでやや窮屈かな？薬湯に移動してああ、ぬる湯だなと確認してから上がって体を洗う。

　床タイルは割と新しい物でして陶器製排水溝が恐らく今の躯体が出来てから以来の物じゃないかな？こまめに修繕しているなと。体を洗い終えて今度は仕切り側のバイブラになっている深槽へ、こちらが熱湯になっているので上がると汗だくになりそう。壁画は浴槽上に金魚の水槽ですがその上には金魚ではなく海水魚のタイル画がありそのまま海岸線の奥に山々が連なる風景タイル画に繋がる、しかし半島部分の奥で山脈の手前に積乱雲？が発生しているので北関東名物の雷雨がモチーフなのかね？立ちシャワーが無いのでカランのシャワーを浴びて上がる、地方都市の銭湯にありがちなユルさを感じさせつつ東京式銭湯のカッチリした感じもあり何より建物に見どころ満載です。

　栃木と言えば蔵の街で観光スポットなのでグルグル廻って〆に汗を流すのが良さそうです、何せ朝の１１時から営業しているので。私はバイクなので服を着て栃木ＩＣを目指す、観光客的には例幣使街道でしょうが地元の人には大きなイオンを中心に大型ロードサイドショップが連なる箱森町交差点がメインなのだろうな、その角のカワチ薬品が本当にドラッグストア？と言う位に大きくて、昨今は食料品を扱う大型ドラッグストアが小売店独り勝ちと聞きますがココまで大きい店も有るのだなと感心しました。


玉川の湯（金魚湯）
https://www.tochinavi.net/spot/home/?id=7374
http://www.cc9.ne.jp/~harukin411/99_blank001.html

タグ：格天井 破風 番台 栃木