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昭和館 (千代田区九段南) [郷土博物館]

 昭和の日は昭和館へ、狙った訳ではなく「希望を追いかけて ~フロリダ州立大学所蔵写真展~」と言う企画展が見たかったから。見学だけなら公共機関で行けば良いのですがその後に皇居を20キロばかり走りたいので原付で出動、向かいの靖國神社のバイク駐輪場なら何時間停めても無料だった筈。と思いきや駐車場の舗装が新しくなってバイクも有料になっていた、本来は払うべきものだしと駐車券を貰い参拝してから九段下でタンメンを食べて改めて昭和館へ。
外見
 九段坂と九段会館の間にある施設でして前は何度となく通りますが中に入るのは初めてです、入場すると本日は無料とかで駐輪場の想定外な出費がチャラか?エレベータに乗って先ずは7階と6階の常設展示へ、各地の郷土博物館を廻っていると大体戦前から戦中戦後の暮らしコーナーがあるのでそれほど目新しくもない。ただ、活字で目にするだけだった「スフ」がステープル・ファイバーことレーヨンの略語だったのは初めて知った。男性の国民服も強制されたのでもなくラクなので普及したとか何とか、東京焼盡で内田百閒先生が周囲の目に気兼ねする日本人の根性を意気地なしと批判していたか。


 戦前の食糧事情は23区内の郷土博物館での展示で良く見る通り東京のサラリーマンはコロッケをおかずにご飯と汁を食べていたとかですが、戦時中の配給米に大豆が混ぜてあったとかを読むと折しも内田百閒の「東京焼盡」を読んでいて執念の様に戦争中の食糧が日記に綴られていたからコレはこういう事だったかと理解も深まります。とは言っても百閒先生は配給品ばかりを食べていた風でも無いのですが。

 6階の戦後編では衣料品事情が興味深いし実物が展示されていてそのヨレヨレさ加減がもう知る事は学ぶ事だなとしみじみ、テレビドラマの戦後生活の衣装とか生地が良すぎるわ。戦後にやたら余っていたらしいジュラルミン製品の数々とか、しかし戦後(昭和)の暮らし体験コーナーとかで井戸の手漕ぎポンプがあったけど私の実家では平成になっても使っていましたよ。展示は無かったけど戦前製の赤銅製の風呂釜に薪の代わりにガスバーナーを突っ込んで20年くらい前まで使っていたし、そう簡単に戦後も昭和も終わらなかった。

 階段で3階まで移動して特別展へ、こちらも本来は有料でしたが同じく本日は無料。戦後日本に滞在した米国人鳥類学者がカラー撮影した写真展でして、このカラー写真が驚異的に鮮明なんです。展示の始めに撮影機材として国産(オキュパイドジャパン)キヤノン製カメラが展示してあり敗戦後の日本製光学機器の性能がアメリカ製カラーフィルムで実証されているとも言う。

 冒頭にオースティン氏のポートレイトと野鳥の記録写真があり、その後はお待ちかねの戦後日本の記録。代々木に住んでいたとかで周辺の渋谷や下北沢の写真が多いです、現代々木公園は戦後米軍住宅だったそうですがそちらではなく井の頭通り沿いだけど。表参道の同潤会アパート(現表参道ヒルズ)の写真は表参道のシンボルであるケヤキ並木が一本もない、広い道路沿いにコンクリートのアパートだけが有るのが印象的。と言うのも5月25日の山の手大空襲でケヤキ並木はほぼ焼失して今日我々が目にしているのは戦後に改めて植えたものだとか。

 麹町界隈の焼け野原っぷりや両国の川開きをゴザを敷いた川床に座って楽しむアメリカ人グループの写真とか、農村部や代々木から下北沢界隈の当時の日本人の暮らしも興味深いのだけれども私の知っている昭和の東京と写真の東京があまり違いが無いのが何とも。2階で「女学生たちの青春~戦前から戦中、そして戦後へ~」と言う展示もやっているので見に行くと何と吹き抜け部分、戦時中に勉強もせずに軍事教練や工場に開墾に駆り出される様子が記録されていてやはり平和が良いですね。

 その2階にリサイクル図書として本が持ち帰り自由で置いてあるのは何と各地の博物館から送られてきた定期刊行物や目録を製本した物でして、昔なら持ち帰ったけれども昨今はネットで同じ物が簡単に検索出来るのだから確かに必要無いかな。そう思い直して原付に戻りました、実に良く晴れて暑い日でしてその後のランニングでヨレヨレになりましたよ。

昭和館
http://www.showakan.go.jp/


タグ:九段下
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