台風19号のお陰で自宅軟禁状態、お陰で読みかけの本の消化が捗ります。

軍国昭和 東京庶民の楽しみ

  • 作者: 青木 宏一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/05/01
  • メディア: 単行本

 巻末の「戦時下とはいえ庶民の花見や花火まで禁止したのは誰だったのだろうか。」と言う問題提起は本書の体裁がそのまま答えになっています、古書店で見つけて買い求めた1冊ですが、実は江戸時代・明治時代・大正時代の庶民の娯楽研究本の続きだった。昭和なので新聞の縮小版が今でも閲覧できるから昭和元年から昭和20年8月14日までの新聞から市民のレジャーに関するものを抜き出して、それに永井荷風や古川ロッパ等の日記から当時の東京市内の様子に迫ろうとする力作。

 とは言っても昭和元年は12月25日より31日まで、昭和64年も元旦から7日までだったか。新聞の初詣や花見・海水浴・スキーなどの娯楽記事と新聞広告から東京市民の娯楽消費を紐解いていこうとしています。と言うのは、新聞記事の方は新聞社サイドの世論誘導や政府サイドからの規制が入るので額面通りに受け取る事は問題があるとなるほどその通りだなと。催し物広告も新聞社主催だと流行っているかのように書くのが当然なので割り引いて、一般興業の満員御礼広告はそれ自体は鵜呑みに出来ませんがその後ロングラン上演していれば当りだろうし。