「経済人」の終わり [読書感想文]
副題は「全体主義はなぜ生まれたか」実はドラッカーの処女作
ノーベル経済学賞受賞者のハイエクが著した「隷属への道」でも紹介されていた逸品です。ドラッカーは1909年生まれでナチスが政権を取った1933年に本書の執筆を開始して正式にと出版されたのは1939年だそうです。優秀な人は若い頃から本当に優秀。ドラッカーと言えばもしドラもといマネジメントですが、むしろドラッカーと言えばな上田惇生氏翻訳のダイヤモンド社版なので2000年頃のドラッカー本出版ラッシュの波に乗った人なら読みやすい。と言うより隷属の道と違い2ページの見開きに収まるセンテンスの区切りがあるのと注記も巻末ではなく本文中にあるダイヤモンド社のドラッカー本フォーマットがありがたい。
1939年と言えば第二次世界大戦が始まる年ですが、33年にナチス政権が誕生してから戦争勅発までの期間渡米したドラッカー青年がドイツのナチス党やイタリアのファシスト党を観察して分析していた内容がコレ。安直に戦争犯罪やホロコーストを取り上げて批判する内容ではない、執筆当時はどちらもやらかしてないか。全体主義を近代の失敗として資本主義や共産主義の唯物論に大衆が絶望して誕生したと位置付けしています。