貞観政要 全訳注 [読書感想文]
ボリュームがあり過ぎて却って読みやすい。
貞観政要は以前より興味があり、最初に本書あとがきで訳者の石見清裕氏が読みやすい本として挙げている守屋洋氏訳の徳間書店版(今はちくま学芸文庫)を買い求め(買っただけ)ました。それではいかんと一念発起して山本七平氏がビジネス本と言う体裁で抜き書きした「帝王学」を最後まで読み且つ数回読み返しました。
しかし抜粋ではなくどうせなら全文を読んでみたいと前々から思っていたところ今年の初めに講談社学術文庫から新訳版が出たと知り買い求めた次第。因みに初版は1月8日で私が買い求めたのは2月1日の第2刷でしたのでやはり世間の注目度も高かったのだろうと思う。とは言ってもあとがき入れて全772ページで値段は文庫本のくせに2310円もします、厚みや値段については講談社学術文庫やちくま学芸文庫を買い慣れてくれば麻痺してきますしそう言う感覚が麻痺した人向けなのですがそれにしても売れているのだなと。
本書の体裁は、タイトルごとに先ず解説が入りその後かなりざっくりした現代語訳が続いて最後に漢文の白文が続くスタイルです。その前の冒頭に30ページばかり「はじめに」と題して大唐帝国成立の流れと太宗が玄武門の変と言うクーデターで権力を掌握した流れを解説してあり、それと主な登場人物と唐の官僚組織の構成と役職名を紹介して、最後に太宗亡き後に貞観政要が編纂されたであろう理由についての石見氏なりの考察が述べられています。役職名と言えば山本七平氏版でも載っていた「美人」の話、その美人が官職名だったとは知りませんでした。