SSブログ

図説 享徳の乱 [読書感想文]

 人気のムック本スタイル、でもA5サイズ

図説 享徳の乱

図説 享徳の乱

  • 作者: 黒田基樹
  • 出版社/メーカー: 戎光祥出版
  • 発売日: 2021/03/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 「享徳の乱」とは今時ネットで調べたらすぐわかりますが、足利成氏(あしかかしげうじ)が上杉憲忠を謀殺した後28年間関東地方で続いた戦乱。その28年間足利成氏が一貫して享徳年間の元号を使い続けたので享徳の乱と呼ばれる、本当は享徳~康正~寛正~文明と変わっていたそう。それぞれの役職が鎌倉公方と関東管領て何だ?と言うのは上司と部下らしい。上司が部下を殺すなぞ戦国時代初期だけに普通だよねと言う成氏の思惑に対して幕府の8代将軍義政が案外怒ってしまい、討伐軍に「天子御旗」やら「武家御旗」を与えて完全に賊軍扱いになると言う。

 著者の黒田基樹氏は先日読んだ「葛西城とその周辺」でのパネリストの一人で、その本でも第一人者と紹介されていた方です。権威っぷりの割に若い人で驚きますが本書は本当に良く調べたなと感心するばかりです、関東地方の話ですが室町幕府の足利将軍も関係するので資料の収集は大変だと思う。手紙や過去帳等の文献に加えて古戦場や城址等へのフィールドワークの成果を発表するにも本書のようなムック形式は実に良いです。歴史ムック本と言うと歴史雑誌の別冊でA4判が定番ですがこちらはA5判なので携行に便利かもしれない。

 冒頭でいきなり「分倍河原で激戦」と来るので関東在住民としてはずっこけるやら楽しいやら、ムック本ですから関連施設として高幡不動の写真も載っているし。本書の体裁上最初から順に読まずともパラパラと2~4ページにまとめられた項目を拾い読みしても良いかなとは思います、但し私のようにそもそも享徳の乱とは何ぞや?な人は最初から順に読むのがお勧め。左ページの上部に年号が載っているのでそれを確認しつつ冒頭4ページにわたる当時の関東地方の地図で位置を確認しながら読み進めましょう、何せ地名は基本当時の物なので場所の把握を怠ると何だかわからなくなるのと、当時の人たちは思った以上に機動力があり北関東にいたと思ったら神奈川に移動したりもするので。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ: