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神奈川近代文学館 (横浜市中区山手町) [郷土博物館]

 ある日曜日、どこかの掲示板で「樋口一葉展」の告知を見てこれは行かないとね。会場は神奈川近代文学館でして港の見える丘公園内だそうなのでついでに園内観光もしよう。原付で元町中華街駅まで行くと公園内に屋内式駐輪場が有るのでそちらへ停める。恐らくちゃんと観光をするのは初めてなのでボウリング発祥の地から珍しい廃墟型施設のフランス領事館跡を見学しつつ展望台へ。ローズガーデンで写真を撮ってからイギリス館へ移動、噴水のロータリーにバスが入ってUターンするのを見て仰天してから目的地の文学館へ。
イギリス館
 丘陵地にあるので2階が1階風、入館料800円はJAF割使えず。エントランスホールでは早速たけくらべの朗読動画を流しており、丁度信如の下駄の鼻緒が切れて美登利がやきもきする場面を読んでいたのでスツールに腰かけて聞く。展示は1階をまるごと使って、一葉の両親の話から一葉の没後の話までをブースに分けて展示してあります。最初に遺品などが展示してあり愛用の机や継ぎ接ぎの着物も、双方台東区竜泉の記念館でレプリカは見ましたが着物も本物?羽織を着ていればボロがバレない苦心作が良くわかると言う。それでも萩の舎での集合写真では当時の女性は手を隠す風習が有ったのに袖が短くて出来ない悔しい一枚が残っています。
神奈川近代文学館
 生い立ちから順にやるので内幸町の生家はかなり現JR線寄りだったのだなとか父親が生きていた間は案外裕福だったのだなと。父と兄が共に事業を失敗して亡くなってから家運が傾きだしたところで家長になっていたのか。学校代わりだった萩の舎でも富裕層子女とは別のグループを作っていたとかで、明治期に亡くならず大正昭和と活躍し続けたら水平社運動に入れ込むかあるいはニヒリズムの人になっていたかもしれない。一葉がド近眼だったと言うのは今回の展示で初めて知りました、超文学少女なのでさもありなん。メガネは頑なに拒んでいたそうですが金銭的理由じゃないかな。


 半井桃水については一葉とのロマンスばかりが話題になるところですが、桃水の作風や家庭の事情に掲載紙についての言及があるのは初めて見たような。一葉の妹が何も捨てずに取っておいたお陰で投函しなかった恋文を見る事が出来たりします。荒天で泊っていくよう促されたのを固辞して帰宅した話は本人としては痛快なエピソードと言う事になっているのが何ともいじらしいというかツンデレさんだったのか。

 同人活動を経て作家として頭角を現すと言う流れですが、母親に言われて嫌々大衆小説を書いていた云々と言う部分も無いね。展示の終盤は各作品の情景をミニチュアセットにこしらえてピンホールカメラで撮影すると言う変わった事をやっているのが面白かったです、「にごりえ」の銘酒居酒屋はこんなだったか?とか。鏑木清方「こしかたの記」を読んだ時に「たけくらべ」は暗記するまで繰り返し読んで美登利を題材に作品を描いたと書いていたその現物を見る事が出来たのはとても嬉しかった。美登利が一葉の墓にもたれかかっているアレじゃないよ、清方の「一葉」は写真だったし。
展示の看板
 神奈川県の総力を挙げたのか?現物の展示が多くて感動しました。別に比較しなくても良いけど台東区竜泉の一葉記念館は複製品が主だからね。その龍泉にあった駄菓子屋界隈のディオラマは記念館から出張していました。1年足らずで撤退した駄菓子屋も「士族の商法」呼ばわりされる事が多いですが開店時には近隣の2店舗を廃業に追い込む勢いだったそう、対面に同業の店が出来て客を取られて撤退と言うのは間違いないところですけど。

 展示の冒頭に現代日本の男女格差について述べる部分がありとそう言う信条の展示なのだろうか?以前横浜美術館に行った時も口上にジェンダーがどうこう書いてあり神奈川はそう言う所?そう言えば面識のない人物に金の無心に行ったら妾になれと言われた話は有名な割に今回は出ていなかった、展示の一葉評を見るに頭は良いが妾にしたいタイプでは無いので追い返す口実だったと思われますが。相客は如何にもの高齢女性ばかりではなく若い男女も来て一葉ファンの多さを実感できると言うか竜泉の記念館では若い人見なかった。特別展に2時間費やしたので閉館時刻が近づいて常設は見ませんでした。
夕暮れのベイブリッジ

神奈川近代文学館
https://www.kanabun.or.jp/


タグ:元町中華街
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