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歴史ロマン 利根運河 [読書感想文]

 関宿城博物館で入手。

歴史ロマン 利根運河 (手賀沼ブックレット)

歴史ロマン 利根運河 (手賀沼ブックレット)

  • 作者: 更吉, 青木
  • 出版社/メーカー: たけしま出版
  • 発売日: 2018/05/01
  • メディア: 単行本

 かなり簡単な装丁の書籍なので最初は自費出版本かと思いましたがちゃんとISBNコードが載っていてタイトル名で検索するとAmazonでも取り扱っていたのでこうやって紹介できる次第。とは言え140ページそこそこのボリュームで1200円するのは何とも発行部数の少ない書籍らしい、巻末に著者の連絡先が載っているのもそれ風。昭和40年末頃までの出版物ならば巻末の連絡先は珍しくありませんでした。

 なのであまり体裁についてアレコレ言うのも良くないなとは思いますが、私は会報誌の校正作業を担当して長いので色々と気になる。ざっと読んでも誤字脱字が散見される点と、同じ記述が何度も繰り返されたりするのは良くないな。これは雑誌の連載をほぼそのまま単行本化したのだろうなと言うのが読んでいて感じるところですが、果たしてタウン誌の原稿をまとめて出版したそうです。同じ話が何度も出てくるのと図版を参考とする記述箇所が何ヵ所かに散っていて読むのが大変なので、著者の方は高齢なので出版社側が校正してまとめても良かったと思う。


 タイトル通り「利根運河」の一冊、利根川の治水や河川物流に興味や以前より関心があったので関宿城博物館の売店(館内ではなく隣接する休憩所内)で本書を発見した時はこれは掘り出し物を見つけたワイと喜んだ次第。恥ずかしながら利根運河と言う言葉自体が初耳でして地図で見ると常磐道の北西方向に並走する感じなのね、折り畳み式自転車を持って久々運河沿いを輪行してみたいなと読みながら思いましたが今まさに千葉県も緊急事態宣言の只中ですので何時になるやら。

 その利根運河は本書タイトルに歴史ロマンとある割に完成が明治23年で昭和16年まで運用されたとある通りそれほど歴史があるでもない施設です。江戸時代の河川物流では小名木川から江戸川に入り関宿まで遡ってから利根川に入る道行きを今で言う常磐道の流山から守谷までの区間を掘削してバイパスを作ればそれまでなら3日の行程が1日になると言うのは江戸期から言われていたものの、いざ運河が計画された時にはもう鉄道の時代だったから行政サイドとして重要視はされず結果民間会社で作ったとか。

 そんな河川物流最盛期の末期に完成したので高瀬舟や蒸気船の通運丸も通行したとか。運河の誕生でバイパスされた地域の駄送や河川物流の衰退をもたらしつつ自らも周辺の鉄道開発により通行量が減少して運河の経営も苦しくなったところに昭和16年7月の洪水で設備が破壊された為事業継続は断念して国有化、戦後は運河としての運用もされていないと言う短い歴史のある利根運河です。

 本書は利根運河研究については巻末に参考文献と言う形で列挙してある書籍類に任せて、専ら流域住民への聞き取りを書籍化しています。ですから、運営会社の議事録や当時の新聞記事に国や自治体の記録で裏を取るでもなく著者が「これは、こうだったのであろう」と推測する形で話が終わっている例が多いです、本当に歴史ロマンではあるけれども歴史の真相ではないなと。

 それでも旧制高校のボート部が練習した話なぞは寮歌の利根運河を歌っている部分を上手く抜き出してみたり聞き取り中心の取材が良い感じ。運河沿いにあるビリケン像は何かのニュースで見た事があるし。元々がタウン誌の連載だからか私の様に本書で利根運河の存在を初めて知った様な輩には門外漢な地元民トークが続くのが厳しいのですが、それ故になおの事輪行して運河沿いを散策してみたいと思いました。それにはやはりコロナ騒ぎが早く終息してもらうしかないのだけれども。


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