台東区立一葉記念館 (台東区竜泉) [郷土博物館]
六龍鉱泉に行った際に同じ台東区内の一葉祭のポスターが貼ってあり、11月23日から25日の3日間は入場無料とな。23日は一葉の命日なのでわかりますが、25日は日曜日にして三の酉と言う事で通常は16時半に閉まる一葉記念館が19時まで開放されているとは。三の酉と言えば「たけくらべ」ラストに美登利が髪を嶋田に結って花魁の様なスタイルで登場する場面なので思い馳せたり、たけくらべは3回は読み返したのですが先日鏑木清方の「こしかたの記」を読んでいたらその画家ならではの感性を感じさせる読み込具合に全く敵わないと凹まされています。
一葉の文体で場面が目に浮かぶ画家の感性には遠く及びませんが好きなのは好きなので良いじゃないの、一葉記念館は昨年の夏に行ったら時間が全然足りなかったのでリベンジを誓っていたから19時だなんて願ったり叶ったりですよ。その割に26日締め切りの原稿が有ったので15時前まで自宅でワープロ打ち、終了後に慌てて飛んでいく。三の酉だけに国際通りより鳳神社方向へ進めず迂回して記念館へ、周辺には一葉煎餅に一葉堂、昔は隣の番地に一葉泉なんて言う風呂屋も有りましたがこちらは残念ながら廃業してしまった。
入り口の左右に一葉と書かれた提灯があり「本日無料」の看板も、入って右手が物販と視聴覚コーナーで左手が展示、エントランスホールには一葉の両親が山梨から江戸に出てくるルート解説など。こんな風にネットで調べればわかる内容の展示は無いのが面白い、2階に上がって展示室1から順に見ていく。展示内容が11月初めに入れ替えたとかで前回とかなり変わっている、前は一葉の人生を年代別に辿る展示内容だったのに。やはりこちらに来たら一葉の手紙や和歌の直筆を見る事が出来るのが楽しい。楽しいと言うよりも達筆過ぎて全然読めないと言うのが正しいか、崩し字は少しだけ勉強した事があるので読める場合もあるのですが郷土博物館で目にするのって男性が書いた行政文書が主ですからね。
女性が書いた柳に風とでも言う様な崩し字は本当にお手上げ、展示ケース手前下に原文を活字化してパウチした資料があるので手に取って見比べるのだけれどもお手上げ。書道や国文学を学んでいる人には良い教材なのだろうか、明治の人なので原稿用紙も使っているのですがやはり筆ですらすらと書いているので良いのだろうか?しかし同じ日本人なのについ百年ほど昔の文章を読む事が出来なくなっていると言う現代教育カリキュラムに非常に疑問を感じる、なにせ書いているのは当時二十歳前後の娘だってのに何この差は?
展示室2も相変わらず手紙中心の展示、物関係は複製品がほとんどなのですが羽織を着ていればバレにくい継ぎ接ぎだらけの着物とかレプリカでも見ていて思うところありますよ。それでいて富裕層子女の集う萩の舎と言う歌塾にも出入りしていたのだから大変だ、常に困窮状態の一葉に萩の舎主催者が弟子を取るように勧めてみたエピソードが紹介されていたりと展示内容が変わってちょっとスポットライトの当て方が変わったなと。
所在が竜泉とたけくらべの舞台でもあるので展示も作品関連はほとんどたけくらべの世界、しかし一葉が住んでいた頃の竜泉界隈の地図があって思い切り実在する店舗が出ていたと知ってちょっとビックリ。美登利がたむろしていた筆屋なんて一葉の店のはす向かい位にある、すると木遣り唄を歌いつつ歩く生徒の集団も一葉が実際に目にした光景なのだろうか。竜泉の店舗も一葉の器量よしな妹が店番をしている間に仕入れ担当の一葉は図書館に篭っていたなんて、以前の展示では向かいにライバル店が出来て敗退したとか載っていたのにそう言う記述は無くなってしまいました。明治の竜泉界隈のジオラマもアップデートしていましたが、以前の物の方が寂しそうな界隈なのが良く伝わったかな。
3階の展示スペースは狭いのですが、一葉の生前に出版された唯一の著作である「通俗書簡文」が展示されていて、これは手に入らないかしら?と思ったら解説付きの本が色々出ているので後日入手しました、候文の文例集なので江戸~明治期の書物を読む際に重宝しそうです。1階の物販コーナー、前回チラッと見たたけくらべのマンガを探したら無くて、代わりに思い切り少女漫画のたけくらべが置いてあった。その脇のスクリーンでもたけくらべの例のシーン、信如が下駄の鼻緒を切ってしまって端切れを手にした美登利が出るに出られない場面をスライド形式で上映していて、皆好きなんだなと。
台東区立一葉記念館
http://www.taitocity.net/zaidan/ichiyo/
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